社長の失敗談

今までに数えきれない程たくさんの失敗をしてきましたが、倒産寸前までいった3つの大失敗と、 お店を撤退した2つの失敗事例を紹介させていただきます。



ワタミの渡邉美樹社長との出会いから約3年間、用意周到に準備してきた居食屋「和民」のDFC(ダイレクトフランチャイズ)での九州出店。そのうち約2年間は単身でワタミに修行に出向き、11人もの人を育てての出店でしたが、2店舗出店したところで撤退。最初の出店から1年もたたないうちに大失敗をしてしまいました。

正直な話、この直後は資金が底をつき、借入金返済不能の状態に陥り、「この会社はもう倒産する」と考えていました。「共に夢を追ってくれた社員やその家族に迷惑をかけ、世の中に必要のない人間になってしまう」と考えるようになり、自殺する経営者の気持ちがよくわかったものです。社長なんて弱いもので、この頃はよくカラオケボックスに閉じこもり、泣いていましたね。

居食屋「和民」は福岡では初出店、新しいマーケットにもかかわらず大型店での出店で強気の売上計画。
計画と実績が乖離していく中、粗利益の10%という高いロイヤルティが重荷になったことと、出店資金を全額3年返済の借り入れでまかなうという、ずさんな資金計画が大失敗の引き金になりました。
無理な計画からの強気の出店が大失敗へとつながっていきました。

「和民」の大失敗でたくさんのお金を失いましたが、社員たちのおかげで「人」までも失うこと無く、何とか今まで来ることができたと思っており、社員には心より感謝しています。 また、ワタミ修行時代とこの「和民」の大失敗は結果的に大変勉強になり、その結果なぎの木グループの今があると思っています。





私の女房は元々、化粧品販売やエステ店を経営しており、ある時「お店にお腹をすかせて来るお客様に、お食事も提供してあげたい」と相談がありました。いつの頃からか「夫婦だからお互いの仕事の相乗効果を活かそう」と、何の根拠も無く「スパ&レストラン」の業態を考えるようになりました。

そんな折、デベロッパーからその新業態出店のお誘いがあり、私自身は業態成功要因の分析をすることなく、調子に乗って出店を実現したいと思うようになりました。そのお店は120坪の大型店。投資総額は1億円を超えました。
オープン前より銀行との話がうまくいかず、デベロッパーへの工事代金支払いも遅れ、毎日のように催促の電話がかかってくる精神的に苦しい状況の中で、無理をした強気の出店でした。 オープン後はテレビや雑誌等の取材が殺到していきなり有名店になり、芸能人もご来店いただくようなお店になりました。
しかし、売上げは伸びず赤字続き。試行錯誤を繰り返し業態の転換も試みましたが、特殊な業態なので業態転換も難しく、結局は再起することができずに3年後に撤退。大失敗をしました。

利益が出るかどうかもわからない、何の分析もせず思いつきで考えた業態を出店したこと、スパという本業以外の自分の知らない業界に安易に手を出してしまったこと、何ら計画の根拠が無く、デベロッパーの誘いに乗って無理をした強気の出店をしたことが大失敗の原因です。 新しいことをはじめるには充分に分析をし、最小限のリスクではじめなければなりません。と言うより、知らないことをしてはいけませんね。無理した強気の出店をすると必ず失敗しますね。





ラーメン屋を経営してみたいという思いは元々ありました。ちょうど居酒屋が10店舗を超え、経済的余裕はないのに気持ち的余裕…というか「ゆるみ」が出てしまったのでしょうか、アルコールの売上に頼らない業態、つまりラーメン屋などの業態を展開したいと何故か考えていました。その矢先、金融機関から融資を受けないかという話しがあり、その直後にラーメン屋3店舗でセントラルキッチン付きの会社買収話が舞い込んできたのです。
経営者としてそこで喜ぶのが失敗の始まりです。失敗の条件がそろいだしました。

毎月200万円の赤字を出している会社でした。
自分たちがやれば必ずうまくいくという根拠の無い自信がありました。
買収後、売上を上げるために多額の投資をしました。更に借入れをしました。有名なコンサルタントを頼みました。改善、改善を繰り返しました。一時、ラーメン事業は何とかトントンまでなりましたが、それは全社の売上、利益をたくさん注ぎ込んでのことでした。

気が付けば現金を使い果たしていました。もう資金ショートするということが判明しました。それも既に銀行には借入れの返済を猶予してもらっている状態です。改善に集中している間に居酒屋部門も赤字になり、現金商売をしているにもかかわらず、売上で支払いが賄えない状態にまで陥りました。
もう倒産すると思いました。生きた心地がしませんでした。
しかしこのときは「絶対に倒産させられない!」という強い思いで、ありとあらゆる対策を打ちました。見栄も外聞も捨てて…。
現金にできるものはすべて現金化しました。徹底的に経費を削減しました。間接費は極限まで圧縮しました。事務所は自宅にしました。社員の給与が下がりました。もちろん私の給与もほぼゼロにしました。
数カ月この状態が続いた後、ラーメン屋をやりたいという方が現れ、引継いでいただいたことでこの倒産騒動から徐々に開放されていきました。

この時期に、幹部社員も含め何人もの社員が会社を去りましたが、給与が大幅に下がったにもかかわらず、お店を守ってくれた社員、会社を守ってくれた社員、どんな状況になろうが私の「絶対に倒産させられない!」との思いを分かってくれて一緒に戦い、ついてきてくれた社員には心より感謝しています。
M&Aは大失敗しましたが、この苦しい状況をみんなで力を合わせて乗り越え、みんな強くなったと思います。





外食産業に参入して最初の店舗は郊外の焼肉屋、2店舗目は地方の駅前の焼肉居酒屋。少し順調になりだすと、やはり福岡市内の都市圏に3店舗目を出店したいと思うようになりました。お金も無いのに。

大体経営者のこういう強引な考え方が失敗の元凶です。つまり、現状の2店舗は地方にあるのに現状の強み分析をせず、出店候補地の立地分析もせず、ただ都会に出店したいという一心だけで、うまくいくかも考えずに突き進んで行くからです。

たまたまお世話になっていた方から自社物件を紹介され、格安家賃の上、内装工事代金も半年後払いという好条件で、ご迷惑をおかけしながら焼肉居酒屋を出店させていただきました。

結局撤退するまでの4年間、利益を出すことはありませんでした。今考えると、このお世話になった方のご好意が無かったら、すぐに倒産していたと思います。 ただこの物件は、撤退後に大改装をし「なぎの木」として再スタート。おかげ様で半年後より利益が出るお店に生まれ変わり、今があります。

出店戦略無き経営、ただ都会に出店したいという安易な考え、立地と業態がアンバランスでありながらの強引な出店で、撤退という失敗を経験してしまいました。





ワタミ修行に行く直前、国の政策から借り入れがしやすくなり、銀行から資金調達をすることができました。何に使おうかと考え始めたところから失敗の序章が始まります。無理して使わなくてもいいのに。

「ちょうど良かった、修行で私が不在になるので、不在時の会社の安定のため、もう1店舗出店しておこう」と、うまくいくとも限らないのに、無理にこじつけて居酒屋を出店しました。

以前より知人から持ちかけられていた800万円の居抜き物件。結構古いお店で、今考えるととても高い買い物です。何もわからなかったのですね。勉強していなかったし、経験も無いですから。福岡の中心地「天神」という地名だけあこがれて、無理に出店して失敗しました。

屋号だけ変えて業態をそのまま引き継ぎました。これまでにランチのノウハウが無いにもかかわらず、立地上ランチ主体のお店。夜は常連のお客様ばかりでよかったのですが、ほとんどが「つけ」。うまくいくはずがありません。途中、業態転換と改装で再起を図りましたが変わりませんでした。

結局、ワタミ修行から帰ってくると同時に撤退。安定のためにと思って出店したお店が3年間利益を出すことはほとんど無く、お金を使って社員が苦労をしただけで終わったお店でした。

計画の無い無謀な出店がうまくいくはずがありません。戦略無き経営者はダメですね。お金は使うものではなく貯めるものだという認識がないと失敗します。





●失敗の原因
なぎの木グループの失敗を振り返って、失敗の原因は全て「内」にある、つまり経営者である私自身にあるということがわかります。
失敗に至った時の私の状態が以下の通りであり、「失敗の原因」であります。

1.思いつきで経営する経営者(戦略無き経営者)
2.「自分はできる」と根拠の無い自信に満ち溢れた経営者(経営能力の過信)
3.社長は偉いと勘違いしている経営者(経営者の高慢)
4.自分の思い込みだけで強引に進む経営者(ワンマン)
5.リスクを考えず希望だけ考えている経営者(バランス無き経営者)
6.充分な分析をせず、ずさんな計画でも強気に投資する経営者(会社のお金はみんなのお金だという認識が無く、自分のお金だと思い込み無謀な投資もする)
7.知らないこと、ノウハウのないことに安易に手を出す経営者(新規事業は失敗の確立が高いという認識が無い)
8.無理な借り入れをする経営者(資金繰りがわからない)
9.勉強をしない経営者(何をどうしたらいいかわからない)
10.人任せにする経営者(本当の意味で働き者でない)

他にもたくさん思い当たる節がありますが、10項目だけ挙げさせていただきました。共通して言える「失敗の原因」は、
すべて経営者である私自身の「見通しの甘さ」からです。




●成功の法則を考える
「失敗」から学ばせていただいた成功の法則は、~愚直に真面目に大変なことをやり続けること~これしかないと考えています。
私たちなぎの木グループの合言葉は「ABCの法則」です。来る日も来る日も「A当たり前のことをBバカみたいにCちゃんとやる」ということです。

「失敗」の原因が経営者そのものであるならば、

  •やりたいこととやれることを理解する経営者になること
  •足るを知る経営者になること
  •資金繰りから判断する経営者になること

が必要ではないでしょうか。当たり前のことですが、常に考えながら行動をしています。

目指すべき経営者像は、

  •経営者は働き者でいるべし
  •経営者は共育者でいるべし
  •経営者は人格者であるべし

です。まだまだ足元にも及びませんが、今後も努力を継続させて、人間性を磨いていきたいと思っています。

たくさんの失敗をしてきて今思います。~経営者の「在り方」そのもの~が成功の鍵ではないでしょうか。

なぎの木グループの経営理念の中に、社訓(実践すること)として

  一.ありがとうの実践
  一.笑顔の実践
  一.挨拶の実践

というものがあります。
経営者自らが実践して、人間性を磨き続ける行為そのものが成功への道と考え、実践していきます。

  •いつも「ありがとう」が実践できる経営者
  •「笑顔」が素敵な経営者
  •自ら元気良く「挨拶」できる経営者

まだまだできていないけど、働いてくれている社員の「幸せ」のためにやり続けます。




●感謝
歴史に「もし」はありませんが、もしこんな立派な社員がいなかったら、もし家族がいなかったら、もし友人がお金を貸してくれなかったら、もしお客様が来なかったら、もしあの時出資に応じてくれる人がいなかったら…、今頃この会社は無かったでしょう。
~「幸せ」の輪を広げるグループを目指して~とか言いながら、人を不幸にする会社になっていたでしょう。
~“ありがとう”をたくさん頂く企業になろう~とか言いながら、批判をたくさん頂く会社になっていたでしょう。
感謝してもしきれません。皆様のおかげでこうして何とか倒産せずにここまで来る事ができました。心より感謝申し上げます。
おかげ様で立派な社員に恵まれました。おかげ様で苦しい時に助けてくれた家族や友人、取引先様に恵まれました。おかげ様でお客様に恵まれました。
皆様の「おかげ」で生かされていることを忘れず、今後も「ありがとう」の気持ちで謙虚に楽しく戦い抜きます。
今ここにいることに全ての感謝を込めて…ありがとうございます。